【中小企業の社長必見!】従業員の給与制度でおさえておきたいこと

会社で人を雇うとき、その人には必ず給与を支払わなくてはなりません。
人件費というと単にこの給与だけを思い浮かべる人が多いでしょうが、このほかにも賞与・健康保険料・厚生年金料・雇用保険料・労災保険料・通勤費・各種手当など多くの費用がかかります。

また、その従業員が仕事をするために必要なデスク・パソコン・事務用品など、さまざまな経費が発生します。
このように人を雇うということは多くのコストがかかるということを経営者の方は認識しつつ、従業員の給与についてシビアに考えていく必要があるでしょう。

この記事では、従業員の給与に関する注意点とおさえておきたいポイントについて解説していきます。

不適切な給与制度はトラブルを招く

「当社は小さな会社で従業員も少ないから、まあ何とか大丈夫でしょう」と甘く見ていると、後々大変なことになりかねないのが給与制度です。
たとえば、給与を年俸制にして、「みなし残業代も含めてあるから」と残業代を一切支払わない会社がよくあります。
みなし残業とは、「○○時間分の残業代が給与にすでに含まれている」という意味です。
もしも、年俸制の給与にみなし残業代を含めているのであれば、その内容を契約書に明記しておく必要があります。
そして、「○○時間分」と規定された時間を超えて従業員が残業を行った場合、会社は超過した時間分の残業代を支給しなくてはなりません。

古くから日本の企業では「サービス残業」が慣例化していますが、とりわけ小さな会社ほど社長と従業員がいわゆる”暗黙の了解”で、不適切な給与制度が放置されている場合も少なくありません。
残業代に限らず、遅刻や欠勤の扱いや昇給・賞与などの決定基準、各種手当などについては曖昧にしておくのではなく、就業規則や給与規定を作成して明文化しておくことが大事です。

特に不適切な給与制度を放置しておくと、金銭絡みのトラブルに発展する危険性があります。
実際に従業員が会社を訴え、高額な未払い金を請求する事案も発生しています。
訴訟にまで至らなくても、従業員に不安や不満が蓄積することで、モチベーションが下がり、業務効率の低下や離職者が相次ぐなどの事態になりかねませんので注意が必要です。

給与設定の前に人件費全体を把握する

冒頭で述べたとおり、人を雇うと発生する人件費は給与だけではありません。
健康保険をはじめとする社会保険や各種手当、入社後の教育費など細かく挙げたらきりがありません。

まず、社会保険については、正社員であってもアルバイトであっても会社が一部負担しなくてはなりません。
この保険料は給与額に応じて決まるので、給与が高ければ高いほど会社の負担も増えて人件費全体を膨らませていきます。
したがって、社会保険料分も加味したうえで、きちんと給与額を考えなくてはなりません。

さらに人件費には、賞与・交通費・各種手当なども付随するわけですから、それらの支出も考慮する必要があります。
しかし、とかく中小企業では世間相場に合わせた給与額の設定を行っていることが多いのではないでしょうか。
給与は一度決めたら、雇用側の都合で引き下げることはできません。
給与額をきちんと精査して決めないと、徐々に会社の経営を圧迫していくことにもなりかねません。
従業員の給与額を決めるときは、その業務にどのくらいの人件費をかけるのかを熟慮したうえで、必ず社会保険料の負担分や交通費なども含めた人件費総額を計算して決めることが重要です。

給与制度を工夫してモチベーションアップ

経営者としては、従業員の数が増えるほど「無駄な人件費を支払いたくない」と思ってくるものです。
しかし、従業員をいつまでも安い給与でこき使っていたら、仕事に対するモチベーションは落ちていくばかりで、最悪の場合、離職者が続出などという事態に陥る可能性もあります。

新しく人を募集するにも手間とコストがかかってしまうので、こうした事態に至らず、「できれば、このまま仕事に慣れた人たちに長く働いてもらいたい」というのも経営者の本音といえるでしょう。
そこで、無駄な人件費を使わずにモチベーションを高めるような給与制度の工夫が必要になってきます。
一例としては、業務レベルを数段階に分け、資格制にするという方法があります。
たとえば、入社後の新人のときは最低レベルに位置付けて、そこから業務を覚えて仕事の幅を広げていくにしたがって社内資格を取得しランクを上げていき、それに連動して給与がアップしていくという仕組みです。

ただし、重要なポイントは、そのランク分けと給与アップのルールをきちんと明文化しておくことが大切です。
レベルアップすれば、確実に給与アップにつながることを誰にでも明確にわかるようにしておく必要があります。
そうしておくことで、社内における不平等感をなくすことができますし、モチベーションアップにもつながります。
従業員同士が切磋琢磨しスキルアップを目指すことで、職場も活性化することでしょう。
会社にとっても、従業員のスキルを明確化することで適正な給与額を設定することができますし、何より従業員のレベルアップは会社の業績向上にも大きく貢献することになります。

まとめ

2019年11月中国で感染者が発生し、未曾有の世界的経済危機をもたらせた新型コロナウイルスですが、2022年2月現在においても変異株「オミクロン」による爆発的な感染拡大で日本国内でも連日にわたって「感染者数過去最高を記録」という報道が絶えません。
コロナ不況と呼ばれる混とんとした社会情勢の中、経営者の方たちは会社存続のための施策に四苦八苦されていることでしょう。
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